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1.構想

 Step3は、構想=ストーリー作りです。どのような展開で話をつなぎ、 聞き手に自分の考え方をスムーズに理解してもらえるかが、ここにかかっています。 展開は無限にあり、答えがありません。しかし、小説ではなく、ビジネスでのプレゼンテーションですから、

「論理的であること」

が基本です。聞き手が自然と導かれるような展開にすればよいのです。もう一度、「Step1(テーマの確認)」で整理した基本情報を見てみましょう。 「目的、背景・・・・」

特に目的の再確認です。ストーリーをつくって最終的な落としどころは、 この目的を達成できるかどうかです。ここを外してはだめです。 初めのうちはおおまかなストーリーで結構です。あとで修正すればよいのです。 今は、この方向でこのストーリーで行くと決断することが重要なのです。 ここで逡巡しているから前に進めないのです。具体的な作業としては、裏紙でよいので、 手書きでストーリー展開を書き出してください。

 ここで一つの壁にぶつかるはずです。

説明したい内容は沢山あるんだけど、それがうまく整理ができない、

という状態です。ここがうまく解決できないために、資料づくりを断念してしまう人が私の周りにも沢山います。しかし、これを解決する手段もちゃんとあります。

(1)吐き出し
(2)関連づけ
(3)抽象化

の3つの手順を踏めば大丈夫です。

Step3:論理構想フロー

(1)吐き出し

吐き出しとは、Step2(情報収集)で収集した情報の中から自分が発表したい内容をランダムに書き出すことです。 いいですか?

ランダム(思いつくまま)に書き出してください。

ここで正確な論理構造(ロジックツリー)を書こうとするから難しくなるのです。 そんなものは最初から無理なのですから、順番など余計なことを考える必要はありません。「こんなことをいいたい」 「こんなことをいいたい」とバンバン書き出してください。

 例えば、”事業方針”を説明する場合、こんな感じで吐き出しを行います。

Step3:吐き出し図

(2)関連づけ

 次は、書き出した内容をジーと見てください。何か見つかりませんか?これとこれは同じことを言っている。 これとこれは上下関係にある。これとこれはまったく関係がない。などいくつかのまとまり(グループ)に分かれないでしょうか?

ここを見極められるかどうかがポイントです。

 会議などで、発言する場合、これらの情報を思いつくままに話すことも可能です。 しかし、プレゼンテーション資料の場合、論理性が重視されますので、何と何が関連づいていて、 何をどうすれば、どうなる。というような論理展開に導く必要があります。 そのため、これらの話をしたい内容を、論理的な構成に組みなおす必要があるのです。そのため、関連づけを行います。

 例えば、こんな感じです。

Step3:関連づけ図

関連する項目と項目を線でつなぎ、不足項目があれば追加します。また、不要なものがあれば削除します。 次に関連する項目をあるグループに分けます。ここでは例として、茶・青・緑・赤で色分けました。

  • 茶色:社会環境
  • 青色:企業の課題
  • 緑色:利益向上の手段
  • 赤色:労働者の目的

という具合です。ここで認識していただきたいのは、”答えがない”ということです。 ”答えは自らつくる”のです。この認識が必要です。 次に、先の論理展開を図にすると以下の図のようなになります。 それぞれの関連を線でつなぎ、左から右へ流れるように整理しました。

Step3:関連づけ図2

(3)抽象化

 関連づけが完了し、あるグループが整理できるとそれぞれのグループの共通項にタイトルをつけます。これを抽象化と言います。

  例えば、
  • 少子化、環境対策→社会的課題
  • 顧客満足、売上向上、利益向上など→企業の課題(使命)
  • 給与アップ、やりがいなど→労働者の課題
  という具合にそれぞれに「〜課題」というタイトルをつけました。これを先のロジックツリーに加えると以下のようになります。

Step3:抽象化図

 ここまで来るとなにかワクワクしますね。既にストーリー展開ができたようなものです。

  1. 社会的課題として、「少子化対策」「環境問題」に取り組む必要がある。施策は、...である。
  2. 同時に企業として顧客満足がなければ生き残れない。そのための施策は、...である。
  3. 顧客満足を実現することで売上向上を実現できる。
  4. しかし、売上向上=利益向上に繋げるためには、生産性向上を図る必要がある。
  5. 生産性向上のためには、労働環境の改善と社員教育が不可欠である。
  6. 利益向上を実現することにより、社員の給与アップも実現できるため、やりがいや退職者の歯止めにもなる。
  7. 社員のやりがいを向上させることが最終的には顧客満足にも繋がり、好循環を実現できる。

 もっと違った見方もあると思います。上記は一例にすぎません。

 このように収集した情報を「吐き出し→関連づけ→抽象化」という手順をとることで ”論理展開を導きだすことが可能”なのです。


2.キーワードの抽出

 

ある程度の構想が固まったので、次は、キーワードの抽出です。 これは、プレゼンテーションの内容を”一言で言うとこれだ!!”という簡単なメッセージです。 事業戦略などの組織的な活動のプレゼンテーションの場合は、「スローガン」といった方が適切です。
一方、製品説明などのプレゼンテーションの場合は、「キャッチフレーズ」と言った方が適切です。 この「スローガン」や「キャッチフレーズ」が適切であるほど聞き手の心に残り、 メッセージが心の中で反復されるので効果的なのです。  先の例を取ると論理展開は、以下のようになります。

テーマ  「○○企業の事業の方向性」
1.社会環境
a. 社会環境として、「少子化対策」「環境問題」に取り組む必要がある。施策は、...である。
2.企業としての課題
b. 同時に企業として顧客満足がなければ生き残れない。そのための施策は、...である。
c. 顧客満足を実現することで売上向上を実現できる。
d. しかし、売上向上=利益向上には繋がらないため、生産性向上を図る必要がある。
e. 生産性向上のためには、労働環境の改善と社員教育が不可欠である。
3.労働者しての課題
f. 利益向上を実現することにより、社員の給与アップも実現できるため、 やりがいや退職者の歯止めにもなる。
g. 社員のやりがいを向上させることが最終的には顧客満足にも繋がり、好循環を実現できる。

このままでは、あたりまえすぎるのです。もっと、心に残るフレーズが欲しいところです。

「キャッチフレーズ」の抽出は、マーケティングでも重要な位置付けにありますし、 これだけでコピーライターという専門職の方がいるくらい奥の深いもので、私も詳しくないので、ここでは割愛します。

 一方、プロ野球チームでは、2003年のスローガンとして以下のようなものを発表しています。 プロ野球の世界では英語が中心のようですが、ビジネスの世界では、 まだまだ英語よりも日本語の方が通りがよいため、日本語の方がよいと思います。

巨 人
 Show The Sprit
ヤクルト
 データ+スピード アンド パワー
中 日
 Win The Game / Win The Dream!
阪 神
 NEVER NEVER NEVER SURRENDER(決して諦めない)
広 島
 Rising HEART 〜 高ぶるハートで
横 浜
 Start afresh and Strive(一新・邁進)
泣ける!!プレゼンテーションへの8つのステップ